フェミニストとはどういう人々なのか? 簡単にわかりやすく解説

フェミニストとは何なのか?

フェミニストとは、日本語では「女性解放論者」などと呼ばれ、女性の権利を主張する人々のことをいいます。世界中にいくつもの女性団体が存在し、活発に活動しています。

かつては世界中において、さまざまな面で男女が不平等に扱われていました。

19世紀にフランス革命が起き、民主主義が生まれ、一般市民に参政権が与えられるようになった後でさえ、女性に参政権が与えられないケースが普通でした。民主主義の本家フランスでさえもそうでした。

世界中でそのような状況を改善しようと、女性が参政権を求める運動を開始したことで「フェミニズム」というムーブメントが生まれ、1893年にニュージーランドではじめて参政権が認められたのを皮切りに、世界各地に広まって次々に女性が参政権を獲得していきました。(アメリカでは1920年、フランス、日本では1945年に参政権が付与されています)

そして、参政権の獲得という大きな目標を達成した後も、フェミニストたちの活動は終わることなく、「男女平等」「男女同権」「女性の地位向上」を謳ってさまざまな権利を主張したり、古い習慣を是正させたりと社会への影響力を行使し続けてきたのです。

が、そのような運動が、時として一般的な感覚からはかけ離れた主張を展開したり、攻撃的な姿勢を露骨に表したりすることで、本来身方であるべき女性からも非難されるような場面がしばしば見られるようになりました。

それによって、「フェミニスト」という言葉が、「女性の権利を過剰に主張する人々」「常軌を逸して権利を主張するやっかいな人々」といったような批判的な意味合いで使われることが増えたのです。

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フェミニストの主な主張・活動

フェミニストにはさまざまな主張があり、確固とした1つの考え方や思想の方向性があるわけではありません。

上述のように、ときには常軌を逸した主張をして、また、過激で攻撃的な言葉を投げかけて、一般的な女性や、同じフェミニストからさえ批判されるようなケースも多々あり、それらの論調の強さや主張そのものはさまざまなものがあります。

その主張の最たるものは上述のとおり、「女性の政治参加」についての主張で、これは21世紀になった現在でも、男性政治家に対して女性政治家が少ないなど、それぞれの国や地域で課題があり、活発に活動が行われています。

では、それ以外の主張や課題についても簡単に見てみましょう。

■女性の社会進出問題

フェミニストが最も敏感な問題として女性の社会進出問題があります。

これは、「女性は結婚したら家庭に入る」等の固定観念に反対し、それらを排除して、女性も男性と同じように社会に進出するべきであり社会もそれを受け入れるべきだとする主張です。

この問題については、完全に男性と同程度まで社会に出て働くべきとする意見や、それなりに女性は家庭で子育てをするべきとしつつも、出産休暇や育児休暇などの制度面、社会保障の充実などにより社会の無理解を是正すべきとする意見までさまざまな論調があります。

また、過激なものでは、主婦になることを望む女性を全否定し、「そういった自立できない女性のせいで社会に出た女性が不利益をこうむっている」とする攻撃的な意見まであります。

■女性の職業・労働についての問題

女性の職業についての問題はいくつかの論点があります。

まず代表的なものとしては、男性社員との給料の格差など、待遇面の改善を要求するものがあります。また、職場でのセクハラ(セクシャルハラスメント)についての防止策等を求める声もやはり多くあります。

これらは概ね一般の女性からも支持されている主張といえるでしょう。

それから、女性性を売りにした職業、例えば、レースクイーンやラウンドガール、キャンペーンガール、チアリーダーなど、これらの職業そのものを問題視し、廃止や規制等を訴える主張もあります。

また、ポリティカル・コレクトネスの観点から、看護婦やスチュワーデスといった呼称を廃止させ、看護士や客室乗務員・キャビンアテンダントなどに職種の呼称を改称させるなどの影響力を発揮しています。

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■性意識についての問題(ジェンダーフリー)

こちらは主に、「男らしさ」「女らしさ」という世間一般に固定化された認識への反対意見になります。

これは、教育(ジェンダーフリー教育)の問題でもありますが、子育てや躾において、男らしさや女らしさといった観点から、家庭や学校で、行儀作法や言葉遣いなどを教えるべきではないといったような意見です。

男らしさや女らしさという「社会的性別(ジェンダー)」に対する一般的な認識を改め、差をなくそうというわけです。

この論調についても、男女の違いを全否定するような極端な意見から、それなりに男女の違いを認めつつもなるべく男女を平等に近づけようというソフトな意見までさまざまですが、一般に「ジェンダーフリー」といえば、前者の強硬なイメージで語られることが多くなっています。

また、女性であるが故に慣習化している諸々の風習・習慣に疑問を投げかけ、啓発するためのキャンペーンを行うなどして性意識の改革をしようという活動もあります。

例えば、海岸などでは、男性は上半身に何も着けずに歩いているのに、女性はなぜ胸元を隠さなければならないのかという疑問を呈し、フェミニストたちが上半身に何も着けずに集合してイベントを行い、世論に訴えるような活動です。(Go Topless (ゴートップレス))

■ポルノ廃止問題

ポルノ動画や書籍を規制または廃止すべきとする意見です。

コンビニ等の子供や女性客の目につく棚にポルノ書籍を置くべきではないという意見もあり、一部コンビニで実現するに至っています。

また、騙されてポルノに出演させられたり、強引に出演させられたりした女性の人権を保護し、泣き寝入りするのではなく司法に訴える際のバックアップをするなどの活動も活発になっています。

■その他の活動

そのほか、夫婦別姓や、教育現場での子供の待遇、宗教や伝統行事等での待遇差、妊娠中絶や避妊の権利、ドメスティックバイオレンス(DV)など、フェミニストの主張や課題は多岐に渡ります。

また、世界ではフェミニストを自称する歌手やアーティストが、女性を精神的に応援したり、鼓舞したりといった活動を行うこともあります。

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フェミニストへの反対意見

上述のようなフェミニストの主張への、個々の反対意見も当然ありますが、おおむね反フェミニズムの人々の批判には大きくわけて2通りの論調があります。

1つは、保守主義による伝統を重視する観点から、ジェンダーフリー教育や過度な女性の社会進出は、家庭や社会の崩壊を招くという意見です。

女性が主に家庭を守り子育てを行って、男性が外で働くというシステムは、子供を産むことが女性にしかできないことに代表されるように、男性と女性とがそもそも異なる役割(性差)を持っていることから、役割分担を行っているだけで、差別感情からそのようなシステムができたのではないという反対意見です。

それから2つ目の批判は、フェミニストたちは表面的には「男女同権」「男女平等」を謳ってはいるが、往々にしてフェミニストの主張は「同権」や「平等」を通り越して「女性優遇」を求めており、これは逆に男性を差別するものである、という批判です。

また、「男女平等」などの美しいスローガンを掲げてはいるものの、それらの観念を利用した言葉狩りや、暴力であるという見方をされることもあります。

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まとめ

フェミニストについて簡単にまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか?

フェミニストの主張は、どれも非常にデリケートな問題であり、男女の間のみならず同性間にも争いを生みかねない問題ばかりです。

以上のように、参政権などの「最低限の男女平等」については現在ではほぼ異論なく実現しています。

が、さらに踏み込んでの大きな社会変革となると、女性の側にも多くの反対意見、異議があるというのが、日本のみならず世界における現状だといえるでしょう。

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