2017年11月、ロシアで、ホラアナライオンという10000年前に絶滅したライオンが3体、永久凍土から冷凍状態で発見されました。
非常にロマンチックな発見であると同時に、一体どういう経緯で「永久凍土」とやらの中に保存されるに至ったのか、謎めいています。
また、「永久凍土」という聞き慣れない言葉もなにやら謎めいたカッコいい響きがないでしょうか?
カチコチに凍ったまま永久に解けない土地のようなニュアンスですが、果たしてどうなのでしょうか。
このページでは、そんな「永久凍土」について書いてみたいと思います。
永久凍土とは
永久凍土とは、その定義は至って簡単で、土壌の温度が0度以下(氷点下)の土地で、その状態が冬から夏を経てまた次の冬になるまでの間続いている土地を言います。
つまり、2年間地中の温度が0度以下のところであれば、そこは「永久凍土」だと言うわけです。
「永久」凍土と言うわりには、かなり緩めの定義になっています。
ちなみに、中国語では永久凍土のことを「多年凍土」といいます。どちらかというとこっちの方がしっくり来るような気がします。…が、日本語の「永久」もいい加減に名付けたわけではなく、それなりに訳があります。
では次に、その「訳」を解説しましょう。
まず、「凍土」について簡単に解説しますと、凍土というのは文字通り凍った土地のことをいいますが、厳密に言うと、土が凍っているのではなく、土に浸透している水分が凍っている状態をいいます。
そして、地中深くなればなるほどこの水分の温度は、地表の気温の影響を受けなくなるため、年間通じて温度が一定になり、ほとんど温度が変動しなくなります。
ですから、地中深くの温度が氷点下になると、理論上は、ほぼ永久に氷解することはないといえるわけです。
それが「永久凍土」と名付けられた理由なのです。
また、以上のように、「永久凍土」は地中深い層のことを言います。
「永久凍土」と聞くと、その存在する地域は非常に寒い、一年中が冬で、大地が一面雪に覆われた極寒の地を想像しがちですが、意外にもそうではありません。
日本にも、富士山の山頂付近や、北海道の大雪山にも永久凍土は存在します。
永久凍土がある地域は、たしかに非常に寒い地域ではあるのですが、地表の気温が必ずしも常に氷点下で、地面が一年中カチコチに凍っている地域というわけではなく、普通に30度を超えるような夏を迎える地域もあります。
というのは、「永久凍土」は上述の通り、地中深くの層をいい、通常は永久凍土層の上に一層「活動層」と呼ばれる層が覆っているのです。
この活動層というのは、地表の影響を受けて温度が変化する層だと言うわけです。
つまり、通常は「永久凍土」の上には温度が変化する層が一層乗っかっていて、その層があるために「永久凍土」の層は外気の影響を受けることなく「永久」に一定の温度が保たれているということになります。
ちなみに、上に「活動層」がなく、地表からいきなり「永久凍土層」になっているものについては「連続永久凍土」といいます。「活動層」をもつものは「不連続永久凍土」と呼ばれています。
「連続永久凍土」はシベリアやアラスカ、カナダ北部などの極寒の地域に見られます。
永久凍土と地球温暖化
そんな「永久凍土」ですが、近年、地球温暖化の影響から世界中で融解してきています。
それが原因で、永久凍土からはマンモスをはじめとする希少な動物等が近年、次々に発見されています。
発見例)
●2016年3月:ロシア・シベリア東部ヤクチア地方で1万2460年前の子犬2匹を発見
●2015年9月:ロシア・シベリアの永久凍土から「3万年前のウイルス」を発見
●2014年9月:ロシア・シベリアの永久凍土から、10,000年前のケブカサイの子発見
●2009年10月:ロシア・シベリアの永久凍土から子マンモスを発見 ほか
もっと詳しく知りたい方は「永久凍土から発見 動物」などで検索してみるといいと思います。
これらは地球温暖化で永久凍土が解け、解けた永久凍土の隙間などから姿を現したものです。
それから、これらの動物などの発見だけでなく、永久凍土の融解の影響は多くあります。
永久凍土が解けることにより発生するメタンなどのガスの影響で、さらに地球が温暖化するなど、深刻なものがあります。
ただし、この影響や、融解の度合い、ペースの早さ、その深刻さなどについては、計測データが数十年ほどしか遡る事ができないことなどのため、まだまだ不明な部分が多くあります。
そのため、この記事もここまでの記述にとどめ、学者の先生方の研究を待ちたいと思います。
はじめに抱いていた漠然とした「永久凍土」へのイメージが、いくらかでも具体的になれば幸いです。