このページでは、昨今、巷で騒がれている「仮想通貨」とは何かということを、とにかくわかりやすく解説し、仮想通貨関連のニュースの読み方や、仮想通貨というものが生まれた背景、また、今後どのような展開を見せるのかについて、一通りわかるようになっていただきます。
また、仮想通貨の種類や、取引をする方法や注意点などにも簡単に触れたいと思います。
それではまず、そもそも仮想通貨とはなんなのか? 私たちが日頃から使っているお金と何が違うのか?というところから解説しましょう。
仮想通貨とは何か?
昨今話題に上っている「仮想通貨」は、日頃、私たちが使用している硬貨や紙幣といった「実体のある」通貨ではなく、「実体のない」バーチャルな通貨です。
別名を暗号通貨といい、すべて電子データ(プログラミング)でできています。
そのため、アイディア次第で円やドルのような実体のある法定通貨には不可能な使い方ができ、そのテクノロジーの革新性や今後の可能性に注目が集まっています。
電子データのお金といえば、SuicaやPASMOなどのICカードや、クレジットカード、ポイントカードなどが思い浮かぶかと思います。が、それらと仮想通貨は決定的に違います。
では、その違いを説明するために、少し違う角度から仮想通貨を見てみましょう。
仮想通貨は、「ある特定のコミュニティ内で価値が認められた貨幣」だと言うこともできます。
例えば、あるゲームに、そのゲーム内でしか使えない通貨があるとします。これはそのゲーム内では立派に仮想通貨として成立していますが、当然ながら、そのゲームから一歩外に出れば貨幣として使用できなくなります。
そういったゲーム内通貨を、ゲームの外の実世界でも使用できるようにするにはどうしたらいいかということを考えてみると、仮想通貨がわりとよく理解できます。
電子データでできた仮想の通貨を実世界でも使用可能とするためには、まず、実世界の人々の多くがそのバーチャルな通貨の価値を認めて、その価値を共有する必要があります。それには何らかのかたちで信憑性のある公正なマーケットが開かれ、価値を決定するシステムが必要になるでしょう。
それから、それらの電子データをスマホやパソコン等の端末から実世界へ、簡単に出し入れするだけの技術も必要です。
これまでは、そのようなことが可能な技術もなければ、環境も整っていませんでした。が、2010年代になり、ネット回線の大容量高速化や、スマホやパソコンなどの端末を経由したIT技術のさらなる進化に伴い、それらがとうとう実用化するまでに至ったのです。
それによって、円やドルといった実体のある法定通貨にはできない貨幣の使い方が技術的に可能となり、いろいろな仮想通貨がそれぞれなんらかの利便性を売りにして登場することとなったわけです。
以上のように、仮想通貨は、法定通貨での決済を補完するためのICカードや、クレジットカード、ポイントカードなどとは根本的に違うものです。
一番の違いは、やはりなんといっても特定の国や中央銀行を背景に存在する法定通貨からは全く独立した存在で、独自のマーケットを持って価値が変動しているところでしょう。
そして近年、世界中でそれらのマーケットが開かれ、取引が過熱するようになったことで、仮想通貨はさらに注目を浴びることになったのです。
仮想通貨のニュースの見方
以上のように、仮想通貨の大きな特徴は主に2つで、1つは技術革新ということ、もう1つはマーケットの存在です。
この2つを意識すれば、ニュースの内容もよく飲み込めることでしょう。
昨今、とくに目立っているのが、そのマーケットを巡る報道です。
何が起こっているのかというと、ネット上で開かれている仮想通貨のマーケットでは、一攫千金を目論んだ人々が投機目的で次々に資金をつぎ込み、株式市場などの成熟した市場ではありえないほど価格が乱高下しているのです。そのため、とくに大きく報道がなされているわけです。
これは、投資や投機の素人である個人がパソコンやスマホで簡単に取引できてしまうこともその原因の一つです。
それから、2015年に起きたマウントゴックス事件に代表される、仮想通貨マーケットを巡る巨額の詐欺事件なども大きく報道されましたし、そのよう激しいマーケット動向を受け、各国政府がそれらを規制する動きを見せていることについても報道されています。
また、もう1つの、革新的なテクノロジーとしての仮想通貨という側面についてもニュースになっています。
例えば、日本円は日本国政府や日本銀行という巨大なバックボーンがついていて、国際的にも信用の厚い通貨ですが、世界にはそれらのバックが非常に頼りなく、金融危機に見舞われている国や、情勢不安でいつ政府が倒れるかわからない地域なども存在します。
そのような国や地域では、自国の通貨をあらかじめ仮想通貨に替えておくことでリスクを回避するなどの使い方がされています。
また、出稼ぎ労働者が、稼いだ賃金を銀行などの金融機関を通さず瞬時に故郷に送り、時間と手数料を大幅に減らすことができているなどの現状もあり、そのような新たなアイディアが次々考案されているという報道もあるようです。
それから、そういった利便性の「良い側面」ばかりでなく、それらの機能を悪用して行われるマネーロンダリング等の犯罪や法の抜け道の悪用なども発生しており、これらを各国政府が規制するというニュースも見受けられています。
このように仮想通貨のニュースは、技術革新による実用性や今後の可能性についての話題と、派手なマーケットの値動きを巡る話題との2つに別けることができます。が、技術革新や将来性の話題はマーケットでの価格に直結しますので、それら2つはまったく別個の話題ともいえません。
また、とくにネット上の記事では、利害関係者がことさらその革新性や将来性を強調してマーケットでの価格をつり上げようとするものもあります。
それが仮想通貨のトピックを巡る現状といえるでしょう。
そもそも「通貨(貨幣)」とは何なのか?
仮想通貨が話題に上るようになったことで、ある根本的な疑問が世界中の人々に投げかけられるようになりました。
それは、「そもそも『通貨(貨幣)』とはなんなのか?」という疑問です。
上に仮想通貨の定義として、「ある特定のコミュニティ内で価値が認められた貨幣」と書きましたが、実は、これはそのまま「通貨」の定義としても当てはまります。
すなわち、「円とは日本というコミュニティ内の人々によって価値が認められた貨幣」であり、「米ドルとは、アメリカ合衆国というコミュニティ内の人々によって価値が認められた貨幣」だということです。
身も蓋もない言い方をすれば、通貨とはそのコミュニティ内の人々が「この貨幣には価値がある」と思い込んでいるだけのものだということなのです。
その硬貨や紙幣が、そのコミュニティー内では必ず何らかのものやサービスと交換できるという確信を持っていて、誰もが疑うことがないため、それがその地域での通貨として成立している、ということなのです。
ですから、その国の通貨は、政府や中央銀行が主導でその貨幣の価値を定めたのではなく、それらの機関は人々のその思い込み・共通認識を追認して信用を強化しているだけだということなのです。
皆が貨幣だと思うことで、貨幣は成り立っている
(中略)
お金はそれ自体で何かの役に立つことはありません。人がそれをお金として受け取るのは、他の誰もが自分と同じようにそれを受け取ってくれると想定しているからです。紙幣とは、その紙幣と等価値のものを「お返し」に渡す引換券であり、紙幣を発行した人・組織(現代では国家や中央銀行)に寄せる信頼の上にその約束が履行されます。人々の予想の自己実現により貨幣は人から人へと渡っていきます。貨幣は、皆がそれを貨幣と思うがゆえに、貨幣として振る舞うのです。ーー『仮想通貨とブロックチェーン』木ノ内敏久著(日経文庫)より
ですから、仮想通貨についても、日本国内、および世界で通貨として認められるためには、ただとにかくその価値を認めて疑わない人の数が増えるかどうかにかかっているわけなのです。
決済手段として受け入れる店舗や企業などが増えれば増えるほど、自然に通貨として流通する存在になっていきます。
世界中でそのような認識を多くの人が持てるかどうかに仮想通貨の未来がかかっているということもできるでしょう。
ちなみに、海外では仮想通貨が決済手段として使用できる店舗等が増えており、日本国内でも、2017年12月からビックカメラが全店舗でのビットコイン決済を開始するなど、決済手段として認める企業が多数出てきています。
仮想通貨の種類を知ろう
では次に、最低限知っておきたい具体的な仮想通貨の種類をご紹介しましょう。
仮想通貨で一番有名なのはビットコインです。2009年にサトシ・ナカモトという謎の人物により作られたビットコインは、仮想通貨の草分け的な存在で、とにかくビットコインを知らなければ仮想通貨を語ることはできないといったような大きな存在です。
仮想通貨の大きな分類としては、まずこのビットコインと、それ以外の仮想通貨・アルトコインの2つに分類されます。アルトコインは1種類の仮想通貨の名称ではなく、「その他のコイン」という意味で、世界中に数百種類あります。
また、仮想通貨はブロックチェーンというプログラミング技術がその存在の要であることから、仮想通貨自体のことを「ブロックチェーン」と呼ぶこともあります。
では、特徴的な仮想通貨の概要をいくつか見てみましょう。
◆ビットコイン(仮想通貨の単位:BTC)
ビットコインははじめて実用化された仮想通貨で、時価総額が他の仮想通貨に比べて突出して高い「仮想通貨の王様」です。
仮想通貨の話は、ほとんどビットコインの話であるといってもいいほどその存在は大きく、上で見た仮想通貨の使用例などもほとんどビットコインのものです。
上にも書いたとおり、ビットコインは主に国際的な送金手段として利便性を発揮し、多くの人々に使われています。また、決済手段としても世界中で利用されるようになってきています。
仮想通貨自体の浮沈は、ビットコインの成否にかかっているといっても言い過ぎではないでしょう。
なお、ビットコインは非中央集権的な仮想通貨と呼ばれ、運営する機関や組織が存在せず、すべてがブロックチェーン技術を駆使したプログラミングをもとに機能しており、参加者の監視によって管理が行われています。
◆イーサリアム(ETH)
ビットコインについで時価総額が大きく、アルトコインの筆頭として存在感を増してきているのがイーサリアムです。
スマートコントラクトという契約情報の記録システムが特徴で、この機能があることによりマイクロソフトやトヨタ自動車、三菱UFJ銀行などの有名企業が、イーサリアムの活用を模索しています。
◆リップル(XRP)
リップルはRipple Labs, Incというアメリカの企業が作った仮想通貨で、ビットコインのような非中央集権的な仮想通貨ではなく、運営主体のはっきりした中央集権的仮想通貨です。(ただし、最終的には非中央集権的な仮想通貨を目指しています)
リップルはとくに海外送金手段として注目されており、世界中の銀行がリップル社と提携しています。あのグーグル社が出資していることでも有名です。
◆オーガー(REP)
オーガーは「胴元不在のギャンブル」「未来予想」をテーマにした仮想通貨です。
通常のギャンブルは必ず胴元が儲かるようにシステム設計がなされていますが、その胴元がいないため、誰もが損をしないギャンブルが展開される可能性を秘めているのです。
予想市場や保険業界から期待されている仮想通貨になります。
■ライトコイン(LTC)
ビットコインの次に歴史の古いライトコイン。基本的にビットコインのプログラムを元に作られています。
ビットコインよりも送金時間が1/4(2分半)と短いのが特徴で、ビットコインの短所を克服したことに存在価値を見出だしました。その反面、何かとビットコインと比べられやすい存在でもあります。
■モナーコイン(MONA)
モナーコインは日本ではじめて作られた仮想通貨です。2ちゃんねるの絵文字キャラクター、モナーから命名されました。
主に2ちゃんねる利用者から多大な支持を受けており、儲け云々よりも保有することに意味がある、というような受け止められ方をしています。日本国内の取引所でも扱っていないところが多く、世界的にもまだ広く認知されていませんが、今後の進出が期待されています。
仮想通貨の取引を行う方法と注意点
以上のような仮想通貨ですが、購入するにはまず、取引所と呼ばれるサイトに登録して口座を開設する必要があります。そしてマーケットに参加し、自己の判断で買い注文をすることになります。
国内に取引所はいくつかありますが、取引所それぞれで扱っている銘柄が異なります。ビットコインはどの取引所も扱っていますが、アルトコインの銘柄が取引所ごとに異なりますので注意が必要です。
その他の注意点ですが、まず、投機と投資の違いについて理解し、意識する必要があるでしょう。
どちらも利益を得るという目的は同じなので違いは微妙ではありますが、おおむね、投機というのは単純に価格の変動を利用して儲けることだけを目的として行うもので、投資とは仮想通貨ごとの特徴を理解し、その将来性を見込んで売買することをいいます。
また、短期的な売買を行うのか、長期的な視点に立って取引を行うのかという違いもあります。その辺りの計画もしっかり練って行うべきでしょう。
それから一番重要な点は、余剰資金で行うということです。余剰資金でなく、生活資金で取引を行うことはまずやめた方がいいでしょう。
まとめ
以上のように、仮想通貨を理解するために最低限知っておきたい点は以下の2点だと言えるでしょう。
・技術革新と将来の可能性について
・マーケットの存在とその値動きの動向について
また今後、仮想通貨が日本国内や世界中でどのように発展していくのかということについては、あなた自身が仮想通貨についてどう思うか、仮想通貨とどう関わるかということも多いに関係してくる問題です。
その判断材料として、このページの内容がお役に立てば幸いです。
コメント
そもそも仮想通貨は通貨ではありません。
金融庁も国民に誤解を与えるとして暗号資産と呼称を変えました。
>通貨とはそのコミュニティ内の人々が「この貨幣には価値がある」と思い込んでいるだけのものだ
これもよくある間違いです。
通貨は誰かが借金することで発行されます。
例えば銀行でローンを組んだときに、銀行が日本円で発行しますが、返済すると消滅します。
これを信用創造と言いますが、お金とは借りた人の借用証書としてその返済能力に対する信用が価値となっています。
日本で発行される日本円の大部分が市中の銀行で発行されており、日本銀行で発行されているのはそのうちの一部だけです。
例外として政府が発行する硬貨は借金ではなく返済されることはありません。
しかし、鋳造コストが額面とほとんど変わらないので、通貨の価値が増えることはほとんどありません。
つまりお金の総額は借金の総額と同じです。
国の借金が1000兆円ありますが、それはそのまま国民の資産になっているのです。
国が借金を増やせばその分、国民の資産が増えて経済的に豊かになるのです。