イデオロギーとは? 意味や使い方をわかりやすく簡単に解説

イデオロギーとは何か?意味・使い方を解説

イデオロギーとは、人が何かを主張したり意見を述べたりするような場合に、その主張や意見の下地にある「観念」の形態(型)を言います。

ここでいう「観念」というのは、その人の価値観や世界感、信念、思い込みなど、その人の考えのベースになるものを指します。

例えば、「民主主義は正しい」と強く信じている人が何かを主張した場合には、その主張にはその「民主主義は正しい」という信念や思い込みが色濃く反映されるでしょう。

また、「キリスト教的な価値観は正しい」と信じているキリスト教徒の意見には、当然その信じている価値観や世界観が強く反映されることになるわけです。

また逆に、そのような何かしらの信念が弱い人の意見や主張は、当然ながらそのような強い観念が反映された意見にはなりません。

が、とはいえ、そのような個人的な信念が弱い人というのは存在しても、それらをまったく持たない人というのは基本的に存在しないことから、誰であっても何かしらのイデオロギーを持っているともいえます。

ですから、イデオロギーというものは本来、別段、「良いもの」でも「悪いもの」でもない、当然のように誰でもが持っているといっていいものなのです。

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ですが、一般的に、あまり強くない価値観や世界観などの「観念」を指してイデオロギーという言葉が使われることはありません。

そのような特定の価値観や信念を強く持っている人というのは、往々にして、それらを持たない人よりも、自分の信念や価値観の正しさを強く、大きな声で主張する傾向にあります

そのため、周囲からそういった態度を煙たがられることがしばしばであることから、イデオロギーという言葉そのものが時代を経るとともに「煙たいもの」「面倒くさいもの」「悪いもの」という印象を帯びてきたわけです。

また、そのイデオロギーが型にはまったものであればあるほど、どこかで聞いたようなことを繰り返し聞かされることにもなり、その型を持たない人をウンザリさせることになります。

その結果、イデオロギーという言葉自体、もしくは「イデオロギーに染まった人」「イデオロギッシュな人」「イデオロギー的な意見」等という表現には、その人の個人的な価値観や世界感をゴリ押しするような意見や態度というニュアンスを含むようになりました。

とくに、イデオロギーというと「左翼思想」「共産主義・社会主義思想」のイデオロギーを指すことが多く、同時にそれらの内容や態度に対して否定的な意味合いも含んで使われるのが一般的な使われ方です。

また、そのようなイメージが定着したのには、同じイデオロギーを持った人々が団結し、そのイデオロギーを普及する目的で組織を構成していることも原因のひとつです。

では次に、イデオロギーという言葉がそのように使われるに至った経緯をもう少し詳しく解説しましょう。

保革イデオロギーの変遷について

イデオロギーという言葉が生まれたのは、ちょうど18世紀後半にフランス革命が起き、民主主義が生まれた頃でした。

その後、自由・平等・人権といった民主主義的な理念を急進的に追求する共産主義や社会主義というものが派生し台頭するにしたがい、それら、いわゆる「革新勢力」に対抗し反対する立場から「保守勢力」が生まれました。

この2つのイデオロギー対立の時代(保革イデオロギー対立の時代)は、冷戦を経てソビエト連邦の崩壊で終わりを告げたと一般的にいわれています。

つまり、イデオロギーという言葉は民主主義思想と密接な関係にあり、これらの時代に、とくに「民主主義の理念」を巡って、それらの種類や強弱を指す言葉として主に使われてきた言葉なのです。

また、保守と革新とでは、両者のそもそもの立場・性質ゆえにイデオロギーの強さが根本的に異なりました。

革新勢力というのは、古い制度や慣習を能動的に改革し、革命を起こすことを目指した急進的な立場であったのに対し、その勢力への反動として生まれた保守勢力は、現状の制度や慣習を肯定する、受け身の立場でした。

ですから、フランス革命がそうであったように、自分たちのイデオロギーを前面に押し出して、それを大義に革命を訴える革新勢力の方がより「イデオロギー的」であったことから、「イデオロギー」といえば革新勢力というイメージが定着したわけです。

ですから例えば、現代において「あの人はイデオロギー的な人だ」といえば、通常は民主主義的な理念(自由・平等・人権など)をあたまから正しいものと信じて疑わず、その自分の信じた正義を振りかざすように自分の政治的な主張を展開するような態度の人を指しているというわけであり、その多くは左翼イデオロギーの人であるというわけです。

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現代社会におけるイデオロギー

上述のように、冷戦構造の崩壊とともに「イデオロギー対立の時代」「イデオロギーの時代」は終わりを迎えたと言われています。

ただしそれは、国家レベルの話です。

一方で、現代社会ではTwitterやFacebookといったSNSの利用者が増え、個人個人が自分の意見や主張を発信できるようになったことから、個人レベルでのイデオロギー対立は、終焉を迎えるどころかよりいっそう対立を深めているのが現状です。

それらのSNSを利用することで、自分と同じイデオロギーの人々と簡単に繋がることができます。

また、異なるイデオロギーの人との言い争いも、現実世界で面と向かってのコミュニケーションではありえないほど過激に行えるようになりました。

左翼と右翼とにかかわらず、現実社会での振る舞いでは見せないようなイデオロギー的な側面を、インターネット上では簡単に出せてしまうことが問題だと言えるでしょう。

それが議論を戦わせるという意味で良いことと見る向きもありますし、単なる罵声の浴びせ合いでしかないと見ることもできます。

いずれにしても、自分の発信している情報が、イデオロギー的であるか否かを顧みてみると良いかもしれません。

代表的な政治イデオロギー一覧

民主主義イデオロギー

民主主義の理念である「自由」「平等」「人権」「友愛」といった観念を正しいものと信じるイデオロギーです。

現代では世界中が基本的にこのイデオロギーをベースにして社会が形成されているといえます。

また、近現代の戦争では、戦争終結後に、戦勝国がその敗戦国を「民主化した」と表明することで民主主義を広めたことを強調して自己の戦争行為を正当化するのが基本であり、その正当化にもこのイデオロギーが利用されています。

ちなみに、このような傾向は第一次世界大戦から続くもので、そのような戦争が繰り返された結果、民主主義イデオロギーが世界をせっけんするに至ったのです。

資本主義イデオロギー

資本主義イデオロギーは、自由競争により自由市場を形成し、私的に生産手段を所有できる経済を正しいものとするイデオロギーです。

現代の世界経済は、概ねこの資本主義イデオロギーによって運営されています。

誰でも自由に自己の利益追求が自由に行えるというメリットがある反面、富が一部の人々に偏り、貧富に差が生じやすいというデメリットがあります。

共産主義・社会主義イデオロギー(左翼イデオロギー・マルクス主義イデオロギー)

このイデオロギーは、民主主義イデオロギーを厳格に追求するイデオロギーで、生産手段の私有化を許さず、すべての富をいったん国家の所有とし、それを国家が再分配することで国民に平等に富を分かち合うことで貧富の差が少ない、理想的な社会を目指したイデオロギーです。

ただし、このような理想的な社会を完全に実現した国はなく、どの国もそのような社会への移行段階でシステムが破綻しています。

「自由」「平等」「人権」「友愛」といった民主主義的観念を極端に追求しすぎて、逆に「不自由」「不平等」「著しい人権侵害」「不調和」をもたらしたという歴史的事実があります。

保守主義イデオロギー(右翼イデオロギー)

保守主義イデオロギーは、現状や慣習を肯定し、それらを大きく変革しようとする勢力(主に上述の共産主義・社会主義イデオロギー)に抗うことを旨としたイデオロギーです。

そのため、「反動」と呼ばれることもあります。

変化を好まず、伝統を重んじ、理想を追求するのではなく現実的なものの見方をする傾向にあります。

デメリットとしては、これらのイデオロギーが行き過ぎると、排外主義や差別主義、極端な民族主義に流れる可能性があり、また、宗教と結びつくことでより強硬で盲目的な態度となることもあります。

フェミニズム・フェミニズムとは?

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